@YUMI KO

「わかった。今朝ってことは、まだ着信はないんだよね?」


「うん。貴久から聞いてるよ、穂香は夜中に着信があっていなくなったんだって。貴久もそうだったのか?」


そう聞かれて、あたしは初めて頷いた。


貴久についてはなにも知らないと押し通してきていたので、ようやく本当のことが言えたのだ。


「貴久のことで聞いてほしいことがあるの」


あたしはテーブルの前に座り、光弘へ言った。


「なに?」


光弘はあたしの向かい側に座り、青ざめた顔のままあたしの話に耳を傾けたのだった。


あたしは貴久がいなくなった現場に居合わせていた。


穂香と同じように、白い手に引きずり込まれ、その後跡形もなく消えてしまった。


それを説明している間、光弘はジッとテーブルの上のスマホを見つめていた。


「貴久がいなくなったと同時に、古いスマホも消えたのか」


「そうだよ」


あたしは大きく頷いた。