ということは、とっくの前に廃棄物として燃やされていてもおかしくないはずだ。


「1番古いのはこれ。小学校5年生の頃始めて買ってもらったやつだ」


光弘は小型のスマホを手に取って言った。


「間違いなく、光弘のものなんだよね?」


念を押すようにそう聞いた。


光弘に限って冗談でこんなことをするとは思えなかったが、念には念を入れないといけない。


遊びに振り回されている間にも、貴久たちが苦しんでいるかもしれないのだ。


「当たり前だろ」


光弘はそう返事をしてスマホを裏返した。


そこには赤いマジックで光弘と書かれている。


小学生らしい文字だ。


「これ、いつ頃出て来たの?」


「今朝だよ。いつも通りこの部屋で勉強をしていたら、突然クローゼットからゴトッていう音がして、確認してみたらスマホがあったんだ」


あたしは部屋の右手にあるクローゼットへ視線を向けた。


「ここだよ」


光弘がクローゼットを開けてあたしに見せてくる。


何の変哲もない空間が広がるばかりだ。