光弘の家は高台の上にある、ちょっと大きな一軒家だった。


光弘の父親は10年ほど前に企業して成功していると、噂で聞いたことがあった。


どこかの窓から見ていたのだろう、あたしが玄関先に到着したタイミングで光弘が出て来てくれた。


その顔は青ざめている。


「あがってくれ」


そう言われ、あたしは遠慮なく家に上がった。


玄関は広く、廊下もあたしの家の倍の広さはありそうだ。


「こっち」


光弘に案内されて2階の部屋に入ると、そこは12畳ほどのフローリングになっていた。


白いフカフカのカーペットに高級そうな家具が並んでいる。


中央の四角いテーブルの上に、5台のスマホが並んで置かれているのが見えた。


「これ?」


あたしはテーブルへ近づいてそう聞いた。


「あぁ」


「もう捨ててあったんだよね?」


「そうだよ。新しい機種に変えた時に、毎回捨ててる」