その後、どれだけ瓦礫をどかしてみても貴久を捜し出す事はできなかった。


貴久の血も涙も、そしてスマホも、すべて消え失せていたのだ。


気力をすべて失ったあたしは泥だらけの状態で廃墟から出た。


すでに太陽は傾き始めていて随分と時間が経ったことがわかった。


そして、ふと我に返った。


「エマ……?」


そこにいたはずのエマがいない。


最後にあたしたちに背を向けて歩き出したエマを思い出した。


と、同時にあたしは駆け出していた。


「エマ!? エマ、どこにいるの!?」


声を張り上げて周辺を探す。


しかし、エマの姿は見えた。


スッと血の気が引いていくのを感じた。


まさか、エマまでも……?


そう考えて慌ててスマホを取り出し、自宅に電話をした。