@YUMI KO

「スマホは!?」


「どこかに落としたんだ。クソッ! 瓦礫の隙間に入ったかもしれない!」


地面に這いつくばり、瓦礫の隙間を確認する貴久。


「嘘でしょ。電話は切ってないよね!?」


「うん。でも……」


スマホが落下した際に切れている可能性はあった。


「あ~あ」


そんな声が聞こえてきてあたしと貴久は同時に振り向いた。


そこには、崩れた壁の向こうからこちらを見つめるエマがいた。


エマは口元に笑みを浮かべ「残念だったね」と笑う。


あの、エマではない誰かの声で、笑う。


「あははははははははは!」


「エマ、やめて!」


不愉快に鼓膜を揺るがす笑い声にあたしは自分の両耳を塞いだ。