@YUMI KO

「電話からは何が聞こえてるの?」


「夜中の着信と全く同じだ」


貴久が振り向いてそう返事をした。


その時だった。


貴久の足元の瓦礫が崩れて、体のバランスが失われた。


「貴久!」


咄嗟に叫んで手を伸ばす。


しかし貴久は少しよろけた程度で、すぐに体勢を元に戻した。


それを見てホッと息を吐き出す。


でも、やっぱりここにいるのは危険だ。


貴久に外に出るように伝えようとしたとき、その顔が急速に青ざめていくのを見た。


「貴久、どうしたの?」


「おい……嘘だろ……」


あたしも声も聞こえていないように呟き、足元の瓦礫を見つめている。


「貴久?」


眉を寄せて名前呼んでから気が付いた。


ついさっきまで持っていたスマホがなくなっているのだ。