@YUMI KO

「くそっ! そこにいるなら姿を見せてくれ!」


貴久は廃墟へ向けて叫ぶ、


しかし、中から返事はなかった。


昼間だというのに荒れ果てた建物内は薄暗くて気味が悪い。


そんな中に、貴久は足を踏み入れたのだ。


「ちょっと貴久!」


「ここまで来たんだ。行くしかないだろ」


ユミコさんはこの廃墟の中にいるというから、直接行ってみるつもりなのかもしれない。


足場の悪い廃墟の中を歩きながら、貴久は電話に出た。


「もしもし?」


エマにはここで待っているように伝え、貴久の後に続いてあたしも廃墟に足を踏み入れた。


2階の天井が落下してきていて少し歩くだけでも困難な状態だ。


「どこにいる!?」


貴久の声が建物の中にこだまする。