@YUMI KO

外はとても暑いのに、体温は急速に下降していく。


「いるって……?」


そう聞く声が知らず知らずに震えていた。


「ユミコさん」


エマが答えた瞬間だった。


ピリリリリッピリリリリッと、あの着信音が聞こえて来たのだ。


あたしは息を飲んで貴久を見つめる。


貴久は青ざめた顔でスボンのポケットを探った。


そして、出て来たのは……使われていないあのスマホだったのだ。


「なんで、ここに……」


貴久は手の中で震えるスマホを見つめて動けなくなってしまった。


「電話に出ないと、何度もかかってくるよ!」


あたしは穂香の時を思い出し、そう叫んでいた。


本当は電話になんか出たくないけれど、出なければ感覚を短くしながら何度も何度もかかってくる。


最初は1台だけだったのに、3台とも同時に鳴り始めた時のことを思い出した。