@YUMI KO

「真っ赤?」


貴久が眉を寄せて聞き返す。


「うん」


「真っ赤って、あの川が?」


貴久はしゃがみ込み、更に質問を重ねた。


エマは石から顔を上げずに頷いた。


「そうだよ。真っ赤だよ」


あたしは視線を川へ向けた。


そこには透明度の高い、綺麗な水が流れているばかり。


真っ赤なんて表現は適切ではない光景だった。


「どうして、川は真っ赤なの?」


あたしはエマへ視線を戻してきいた。


「だってね……」


なにか言い掛けた時、不意にエマは顔を上げた。


視線をジッと廃墟へ向ける。


あたしと貴久は咄嗟に廃墟へと振り向いた。


しかし、そこには不気味な建物があるだけでなにもない。