☆☆☆

「貴久のご両親、本当にいい人だね」


「息子の彼女によく思われないだけだよ」


謙遜しているのか、貴久はちょっと照れくさそうに言う。


「でも、素敵だよ」


そう言ってから、あたしは自宅へと続く道を見つめた。


あたしの家は大丈夫だっただろうか?


特に、エマのことが心配だった。


自然と歩調が速くなっていくのを感じる。


「なぁ、これからエマちゃんと連れて河原へ行ってみないか?」


「え?」


突然の提案にあたしは驚いて貴久を見た。


貴久は真剣な表情をしている。