暗闇の中から、少し起こったような貴久の声が聞こえて来た。


「だって、あたしはエマと一緒に河原にいたんだよ? それに、古いスマホだって持ってる。それなのに、どうしてかあたしの周囲の人ばかりが犠牲になって――」


そこまで言った時、不意に抱きしめられていた。


布団の上から、ギュッと腕が回される。


「そんなこと考えなくていい。ナナカがいなくなったら、俺は生きていけない」


こんな時なのに、ドキッとしてしまった。


「貴久……」


「なにがあっても、ナナカは俺が守るから」


貴久はそう言い、あたしの頬にキスをしたのだった。