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それから貴久は、今日学校を休んだあたしのためにノートを見せてくれた。


それを書き写しながらも、あたしの思考は貴久のスマホへ移動して行ってしまう。


エマのオモチャ箱から出て来たスマホは、今はテーブルの上に置かれていた。


電源も切れているし、充電もない。


そんな状態だけど、いつ鳴り始めるかとビクビクしている自分がいた。


「大丈夫か?」


「うん、平気」


貴久の質問にそう答えたものの、本当はスマホが視界に入るたびにドキドキしている。


「こんなのが、本当に鳴り始めるのかな」


貴久はそう呟いてスマホを手に取り、しげしげと眺めている。


「あたし、嘘はついてないよ?」


「あぁ。そういう意味で言ったんじゃないんだ。ナナカの事は信じてるけど、実際に目で見て見ないとわからないだろ」


貴久が慌てた様子で言い訳をした。


頭では理解しているけれど、疑われているのではないかと思ってしまう。


なにせ、あたし自身も自分の目の前で起こった出来事が夢じゃないかと、時々考えてしまうくらいだ。