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「ごめんね、こんなことになるとは思わなかったの」


貴久と一緒に家を出てあたしは言った。


「いや。大丈夫だよ」


貴久はそう言い、手の中のスマホを眺めた。


あたしが持っていると言ったのに、貴久はそれでも自分で持っていたいと申し出たのだ。


そして、なにが起こっているのか確認したいと。


それならせめてと思い、今日あたしは貴久の家に泊まることにした。


なにかがあった時にすぐ気が付いて、助けを呼ぶことができるし、明日は学校が休みだ。


それに、昨日のことを思い出すとあたしが持っていても意味はなさそうだった。


どんなことをしても、スマホは持ち主の前に現れていた。


「エマちゃん、大丈夫かな」


「わからない……」


エマ自身が危害を加えられるようなことは今まで1度もないが、あんな風に人が変わってしまうのだ。


なにも影響が出ていないとは言えなかった。


それが原因で、幼稚園にだって行けなくなってしまっている。


このまま放置していてはきっと悪い方に転がって行くだろう。


エマの為にも、一刻も早くこの問題は解決しないといけなかった。