@YUMI KO

「やっぱりこれ、俺のだ。このマークは中学時代の友達に書かれたやつなんだ」


そう聞いた瞬間、ゾワリと背筋が寒くなった。


何度も見たことがある光景だった。


理香先生のときは車の中から。


穂香のときは学校のゴミ箱の中からでてきたそれ。


「なんでこんなところにあるんだ?」


首をかしげている貴久をよそに、あたしはエマを見た。


エマはすでに興味を失っているようで、今度はお絵かきに夢中だった。


「ねぇエマ。これ、どうしてここに入ってたか知らない?」


そう聞くとエマは一度顔を上げてスマホを確認し「知らな~い」と、首を傾げた。


「もっと、よく思い出してみて?」


すぐにお絵かきに戻ろうとするエマに言った。


「だって、知らないもん」


エマはふくれっ面になって返事をする。


「妙だな。この前のゴミの日に捨てたはずなのに……」