@YUMI KO

「その人の名前ってさぁ……」


あたしが次の質問をしようとした時だった。


エマが首をかしげながらおもちゃ箱から何かを引っ張り出した。


それをあたしへ向けて突き出して「これなぁに?」と、聞いてくる。


「え……?」


あたしは瞬きをしてそれを見つめて、エマからそれを受け取った。


スマホ、だった。


男性向けに作られた大きめサイズのもので、3年くらい前に発売された旧型だ。


「なんでこんなものがエマのおもちゃ箱にあるんだろう」


そう呟いた時だった。


「これ、俺が昔使ってたやつだ」


隣の貴久がそう言ったのだ。


「え……?」


あたしは見開いていた目を、更に大きく見開いた。


「ちょっと貸して」


そう言われてスマホを渡すと、貴久はバッテリーを抜いてヒックリ返した。


バッテリーの裏にはマジックで星のマークが書かれている。