「ただいま、エマ」


リビングでお人形遊びをしていたエマに声をかけると、すぐに駆け寄って来た。


「おかえりお姉ちゃん!」


そう言ってあたしの足元に抱きついてくる。


まあ夜中に見たエマとは、全くの別人のように見えた。


「こんにちは、エマちゃん」


貴久がしゃがみ込んでそう言った。


エマは何度か瞬きをすると貴久のことを思い出したのか、パッと笑顔になった。


そしてあたしの足から身を離し、「こんにちは!」と、頭を下げる。


前回のようなことにはならなかったので、心の中でホッと安堵のため息を吐きだした。


「エマちゃん、今なにして遊んでたの?」


「お人形だよ!」


貴久の質問にも、嬉しそうに答えている。


「へぇ、可愛いお人形だねぇ」


「うん!」


自慢のお人形を褒められたことが嬉しいのか、エマは貴久の手を引いて自分のおもちゃ箱へと近づいて行く。