そう考えて押し黙っていると貴久はあたしの前を歩き出した。


「いいの? エマがなにかするかもしれないよ?」


あたしはその後ろ姿に声をかけた。


「大丈夫。それよりも、エマちゃんがここで何を見たのか聞いてみたいんだ」


それは、あたしもそう思っていた。


ただ知るのが怖くて、逃げていただけだ。


「……わかった」


あたしは小さな声で返事をして貴久の後を追い掛けたのだった。