「電話を切っちゃダメだったのに」


「エマ。変な事言ってないで早く寝なさい」


あたしはエマに近づいてそう言った。


エマと目の高さを合わせてみたけれど、エマはあたしを見ていなかった。


あたしのずっと後ろ。


穂香すら通り過ぎて、穂香が投げてしまったスマホをジッと見つめている。


その様子がなんだか恐ろしくて、あたしはエマの体を抱き上げて立ち上がった。


「ごめんね穂香。たぶん寝ぼけてるんだと思うから気にしないで」


穂香にそう言い、あたしはエマを抱っこしたまま両親の寝室へと向かったのだった。