@YUMI KO

「出てみる」


穂香がゴクリと唾を飲んでそう言った。


そして、プリクラの貼ってある1台のスマホに手を伸ばす。


「スピーカーにしてね」


あたしが言うと穂香は1つ頷いて、電話に出た。


穂香が電話に出た瞬間、他の2台のスマホがピタリと鳴りやんだ。


恐ろしいほどの静寂があたしたちを包み込む。


「もしもし?」


喉に張り付きそうな声で穂香が言う。


その瞬間、電話の向こうから水の音が聞こえて来た。


チロチロチロと、微かに聞こえる音。


「もしもし?」


穂香は繰り返し相手に声をかけるが、向こうは返事をしなかった。


ただ水の音が聞こえてきて、そして突如赤ちゃんの泣き声が混ざるようになった。


オンギャアオンギャアと、必死で母親を呼んでいるような泣き声。


さすがに気味が悪くて、あたしと穂香は目を見交わせた。


悪い冗談だと思いたかった。


すぐに電話を切ってほしかった。