@YUMI KO

☆☆☆

それから1時間ほど静寂が訪れていた。


隣から聞こえてくる穂香の呼吸音。


だけど眠っているような雰囲気ではなかった。


目を閉じて、ただ呼吸を繰りかえす時間。


本当ならそういう時間もあたしは好きだった。


なにもせずに、ただ疲れがジワジワと溶けていくような気がするから。


でも今は違う。


その眠れない時間は恐怖心から来るものだった。


胸の中に渦巻く恐怖は簡単にはぬぐえず、睡眠を妨げてくる。


あたしも何度目かの寝返りを打った、その時だった。


再びあの音が部屋の中に響きだしたのだ。


あたしと穂香が弾かれたように飛び起きたのはほぼ同時だった。


すぐに電気を付けて音の場所を確認する。


しかし、その必要はなかった。


3台のスマホはまたも穂香の枕元に移動してきていたのだ。


あたしがゴミ箱に捨てて、そのゴミ箱は廊下に出していたというのに……!


あれから眠れずにいたからわかっている。


この部屋のドアは誰も開閉していないということを。