@YUMI KO

それから10分後。


見慣れたゴミ袋を見つけて、あたしはそれを道路へと引っ張りだしていた。


「この中に捨てたはずだよね」


そう言いながら、穂香がゴミ袋の中に顔を突っ込んで自分のスマホを探す。


あたしは穂香が見やすいように光を当てていた。


しかし……いくら探してみても、捨てたはずのスマホは出てこなかった。


「嘘でしょ? 絶対に、ちゃんと捨てたのに!」


穂香の額にじわりと汗が滲んできている。


「捨てたよね!? あたしとナナカの2人で捨てたよね!?」


ほとんど悲鳴のような声になる穂香の背中を、あたしは抱きしめた。


穂香の体は小刻みに震えている。


こんなに暑い夜なのに、恐怖でカタカタと揺れている。


「大丈夫。きっと大丈夫だから」


なんの根拠もなかったけれど、あたしは穂香へ向けてその言葉を繰り返した。


いつまでもここでうずくまっているワケにはいかない。


気味が悪いけど、家に戻らないと……。


そう思い、あたしはゴミを元通り片付けた後、まだうずくまったままの穂香を抱きしめるようにして、歩き出したのだった。