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“カラン カラン”


思えば・・二人で一緒に来た最後のカフェはここになるんだよね・・。


そう思っただけで・・
また涙がこみ上げてくる・・。





「・・いらっしゃいませ・・・。」


「・・・・・・。」


「・・今日はもう営業終了ですが・・?」


「沖田さん・・あの・・・・。」


「・・お名前は・・?」


「・・志村ユキ・・。」


「・・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・。」


「・・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・。」


「・・空いてるテーブルにどうぞ・・。」


あの時と同じ様に・・
その手には文庫本が握られている。


とりあえず一番近い席に座った後、

近づいてくる沖田さんに・・あの居酒屋店員さんから預かったポイントカー・・


「・・・何か・・飲んでいく・・?」


「え・・・・・。」


「・・アールグレイ・・・
用意してあるけど・・・。」


「じゃあ・・あの・・頂きます。」


「・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・?」


「“ユキ”って・・呼んでもいい・・?」


「はい・・。」