「あれ・・お父さん。」


「うん。カスミ、
ちょっとずつスピード緩めて。」


「う、うん。」



はるか前方の先。

私達の前を走っていた車にハザードランプが灯っている。


「渋滞してる時はああやってハザードランプを付けながら後続車に知らせてあげるんだよ。」



“渋滞” その言葉通り、

私のスピードはそのままだったのに、

はるか前方にいた前の車との距離があっという間に近づいていく。


「カスミもハザード焚いて。」


「うん。」


「後ろの車がハザード焚いたら消していいよ。」


「なんかリレーみたいだね。」


「こんな感じで“渋滞してますよ”って後続車に知らせていって衝突を避けるんだよ。」


「あ~~~!!これでもうスピード出さなくて良いから安心!」


「ウハハ!カスミは渋滞が好きか。

でも今は自然渋滞だからすぐに無くなると思うけど、

もしこれが事故渋滞とかだったら平気で何時間も立ち往生しちゃうから、

電光掲示板に表示されてる情報も見落とさないように。」


「うん分かった。」


「渋滞の規模によっては下道のほうが早いってこともザラにあるから、

そういう時は下に降りて・・。」


「カーナビ入力!」


「ホント今は便利になったよなぁ。俺の時はこんな便利な機械なかったんだぞぉ。」





今日の練習を終えた後、お父さんから“よっしゃ行ってきなさい!”と“合格”が貰えた。


ユキも私もバイトが無い来週の水曜日。

ついについについに!

私たちの念願だった日帰り旅行が始まる!







第2話 完