「沙絵…?仕事終わったんだけど、沙絵はもうやること済んだ?」







少し昔のことを考えていたら、仕事という電話を終わらせた斗真がリビングに戻ってきた。








「あ、うん。終わったよ。もうこんな時間だから寝ようか。明日も仕事だし。」





そう言って私達は寝室へと向かった。








寝室にはダブルベットが1つ。
私達は夫婦だから当たり前のようにひとつの布団に入る。



そして当たり前のように腕枕をしてもらって



「おやすみ、沙絵」



優しく頭を撫でてもらう。






優しく優しく扱ってくれてるのよ。
妻として大事にしてくれる。







え?
上手く夫婦としてやってるじゃない。
じゃぁ何でこんなに円満なのに不倫みたいなことされてるのかって?



それは…






♪ピピピ










ベットに入って頭を撫でてもらいながら少しイチャイチャしてたら午前0時のアラームの音。
私はビクッと身体を震わせる。






え?なんでこんな時間にアラームって?











アラームが鳴ると斗真はアラームをとめた。
そして先程の優しい笑顔から一変、真顔になり
腕枕をしていた腕を私の頭が乗っているにも関わらず何の躊躇もなく抜いた。











「明日、俺早いから。お前は起きなくていいから。」



そう冷たく言い放ち、部屋を出て行ってしまった。彼は今日も書斎で寝るのだろう。






私達は紛れもない正真正銘の夫婦。






「夫婦」という契約を交わした関係。













アナタの中では私との時間は仕事でしかすぎない