星々とは何だろうか?

とカシュガル帝国の神殿官サイは空を見ながら思う。

星々が壮麗だった。

天の川(あまのがわ)銀河が垂直にその巨大な星の集まりを見せていた。

今夜は神殿の祭りであった。
多くの家畜が屠られる。

その流れた血、そして今夜のご馳走とは神々に祈り捧げることでもあった。

「どうされましたか?」と同僚の神殿官。暗い。石積みの神殿だった。蝋燭の灯りさえもない。

「星々が綺麗だと思いまして」とサイ。街は賑やかだろうな。


「神々がカシュガル帝国に義務を与えたのですからな」
「そう。星を見るのは人間の役割」とサイ。

神々との契約だ。

それをカシュガル帝国の神殿官は星見の塔で忠実に守ってきた。

いかに時代が変わっても。
星々は神々の(しるし)なのだ。