あれから数週間が経ち、10月の下旬になった。私は花梨さんとカフェに来ていた。
「あの、真弥ちゃん……このゲームしてない?」
私と向き合って座っている花梨さんは、スマホをいじってとある画面を私に見せる。私は「あ……やってます!2年前から」とスマホを取り出した。
「やった!私、ふわりという名前でやってます」
「え……?」
聞き覚えのある名前に、私は思わず聞き返す。花梨さんは、ゲーム画面を私に見せる。そのアバターは、私のフレンドの1人、ふわりと同じものだった。
戦力、一言コメント、ID……すべてがふわりのものと一緒で私は信じざるを得なくなった。
「……あなたがふわり……私は、陽彩という名で活動しています!」
私もゲーム画面を見せる。花梨さんも驚いた顔を見せた。
私とふわりが出会ったのは、私がこのゲームをやり始めて1週間が経った時のことだった。
ふわりがギルマスをするギルドに入らないか?という誘いがあり、私はそのギルドに入った。最初は中々喋らなかったが、向こうから話しかけて来るようになり、仲良くなった。今では、悩みをぶつけられる程の仲だ。
「ふわりに陽彩だって!?」
不意に声をかけられ、私と花梨さんは、声をした方を見る。セミロングの髪を1つに結んでいる女の子が居た。
「あ、急に声をかけてごめんなさい。私もそのゲームをしてます。私は、渡辺 愛音。ゲーム名も愛音です」



