Happy Birthday!~私の宝物~

お母さんはずっと私を怒鳴り、ずっとお兄ちゃんを褒める。

お兄ちゃんも私をバカにしたように笑い、何で何も出来ないんだ?と言う態度を取る。

そんな家族が嫌いだった。いつかこの家を出たいってずっと考えている。

私は、すぐに部屋に閉じこもって泣いた。どうして私を見てくれないのか、と。そう考えているうちに、みぞおち辺りが気持ち悪くなった。ストレスなのか、何かの病気なのかは、分からない。

その時、家のインターホンが鳴り響いた。

「はーい!」

お母さんの声が聞こえる。私は、泣くのを堪えて耳をそばだてた。

「この向かいに引っ越してきました、川上 花梨と申します。よろしくお願いします」

「村上です。ご丁寧にどうも」

そんな会話をしながら、2人は笑っている。そして、会話を終えたのかドアが閉まる音がした。

「……っ!」

その時、通知が来る音がしてビクリと体を震わせながらスマホを手に持つ。愛音からだった。

『陽彩~……昨日、1時間目から6時間目まで難しい授業ばかりで疲れて、帰ってから死んでた……』

『難しいって……どれも難しいでしょ?』

『違うんだよ!昨日で、20ページ近く残ってた化学基礎を、一気に終わらせたから……死にそう。』

『お疲れ様です……』

愛音と会話をしていると、私の落ち込んでいた気持ちは次第に回復していくような気がした。

『あ、そうだ。暇だから、クエストにでも行かない?』

私は愛音の問いかけに『うん!』と返した。