私は本屋に行くために道を歩く。今日は休日。黒いパーカーに黒い長ズボンという楽な格好で外に出ていた。私は、高校3年生なのに、全くおしゃれには興味無い。
全く関係ないけど、涼しい風が吹いているな。
「あの、すみません」
声をかけられ、私は声をした方を向いた。ショートカットの女の人だ。
「はい」
「道をお尋ねしたいのですが……最近、この町に引っ越してきたものですので……えっと、この辺りに本屋があるとお聞きして来たのですが、迷子になったみたいでして……」
私はこの辺りの地図を、頭に思い浮かべる。この近くにある本屋といえば、あそこしかない。
「私も今からそこに行こうとしてました。私が案内します」
そう言って歩き始めた。後ろから足音が聞こえる。
「あ、ありがとうございます!……私、関東の方に住んでいたんですけど、家の都合でこちらに来ました!」
「関東……!?そうなんですか……私は生まれも育ちもこの町なんですけど、良い町だと思います」
「なるほど……っ!この町のおすすめの場所とかありますか?」
「……私は、ここのカフェに良く来てます」
ちょうど近くにあったカフェを指差し、私は言った。それを通り越し歩き、あの角を右に曲がったら本屋の建物が見えてくる。
「この角を右に曲がればありますよ」
私は角を右に曲がる。ここから少し行った所に本屋の建物があった。