あれから数日が経ち、11月2日がやって来た。今日は、私の誕生日。いつも通り、学校に行き、今日は文化祭準備のために遅めに帰宅する。
今、私は花梨さんの家で暮らしている。私1人では、暮らすことが難しいと判断し、1人で暮らせるようになるまで花梨の家に行くことになった。
いつも通り、ドアを開けると、靴が1つ多いことに疑問を覚える。だけど、聞き覚えのある声が2つ、私の耳に届いた瞬間、私は思わず微笑んだ。
「……ただいま!」
靴を脱ぎ、家に入りながら私は言う。リビングに入った瞬間、クラッカーの音が部屋に響いた。
「お誕生日おめでとう」
愛音と花梨さんの声が、同時に響く。私は、その言葉と食卓の上に置かれたケーキを見て驚いた。
「……覚えてくれていたの?」
「当たり前じゃん!真弥は、私の誕生日とか覚えてくれていたし、祝ってくれたじゃん」
私は、愛音の誕生日にイラストを描いて送ったことがある。花梨さんの誕生日にも『お誕生日おめでとう!』と声をかけたのだ。
「だから、今度は私たちが祝う番だよ」
私は、嬉しくて笑った。お兄ちゃんの誕生日は毎年祝われているが、私の誕生日だけは祝われたことがない。
「……ありがとう」



