「で。その写真に写ってただけで、どうしてここに?」

あの場にいた私の写真でここまでたどり着けるのは思えないわ。


「偵察隊の撮った写真は秋道のタブレットにリアルタイムに送られてくんだよ」

「ん」

「で、俺を助けてくれた時と同じ格好をしたお前を見つけて、偵察隊の1人に後をつけさせた」

「ちょ、ちょっと、どうして後なんてつけるのよ」

キッと晴成を睨み付けた。


つけられてるのに気づかなかったけど、そんなことされてるなんて思わないじゃん。


「女が夜に一人歩きとかあぶねぇだろうがよ」

「あの格好の私の事なんて誰も気にしないよ」

「んなの、わかんねぇだろうが!」

「分かるよ。今まで一度も危ない目にあってないし。それにその辺の男なら倒せる自信あるし」

「はぁ? そう言う問題じゃねぇ」

「自分から言い出したんでしょ」

暗闇の橋の上、なぜか言い合をしてる私達。


どうしてこうなった?

なぜに・・・。

なんだか、とてつもなく疲れた。


「・・・もう、いいや。帰ろ」

自宅方面へ向かって歩き出す。


「あ、おい、ちょっと待てよ。送ってく」

焦った声で追い掛けてくる晴成。


「いらない。総長さんに送ってもらったら目立って仕方ない」

パーカーのフードを深くかぶり直して振り向いた。


「無理、そんなの知るかよ」

「知っとけバカ」

「バカってなんだ、てめぇ」

「煩い。ほら、さっさと暴走に戻りなさいよ」

お友達が待ってるはずだ。

暴走の途中で総長が抜けるとか、ダメなやつでしょ。



「だったら、響も一緒に行こうぜ」

「いかない」

「フードかぶってりゃ誰かわかんねぇだろうが」

「・・・・・」

それは一理あるけど。

隣に並んで歩く晴成は、一歩も引くつもりはない顔をしてる。


「車に乗って溜まり場に入れば、誰にも分からねぇぞ。今から溜まり場でみんなで飯食うし、来いよ」

「・・・ご飯」

そう言えばお腹減った。

「な、車、すぐそこに停めてるから、行こうぜ」

「・・・ご飯食べたら帰っていいなら」

「よし、気が変わらねぇうちに行くぞ」

晴成は嬉しそうに破顔すると、私の手を引いて走り出した。


「ちょ、ちょっとフード飛ぶじゃん」

私の叫び声が辺りに響き渡った。