チャラララ・・・言い合いを止めて食事を再開した私のスマホが着信を告げた。


「あ、ごめん。出ていいかな?」

秋道の方を見る。

「ええ、どうぞ」

頷いた秋道の隣で不貞腐れてる晴成は無視した。

私、まだ怒ってるからね。


スマホに表示されてる名前になんだろうか? と思いながら画面をタップした。


「はい」

『もしもし、俺だけど。お嬢大丈夫?』

「え? 何が」

『あ・・・っと、お嬢に付けてる護衛から、連れ去られたって連絡入ってな』

雷牙君は言いにくそうに笑った。


私に護衛なんてついてたんだ?

驚きの新事実だ。


「大丈夫だよ、雷牙君。ご飯食べてるだけだし」

『あ・・・そっか。響ちゃんが入ったのがおかしな店じゃないのは分かってたけど。総代が心配しててな』

「お祖父ちゃんも知ってるの?」

『うん。お嬢の事は総代に全て連絡がいくんだよなぁ』

「そっかぁ。まぁ、大丈夫って言っておいてよ」

『了解。迎えにいこうか?』

「それも大丈夫」

『そっか。何かあったら直ぐに連絡してくれよな』

「うん、ありがと」

『じゃあ、また』

「うん、またね」

通話を終えて前を向くと、険しい顔で晴成達が私を見ていた。


えっ? なに?

電話してる数分の間に何があったのかな。

空気が非常に重いんですけど。


「えっと・・・なに?」

スマホをテーブルに置いて聞いてみた。


「雷牙って誰?」

及川君の事を尋ねた時みたいに、低くて威圧のある晴成の声にビクッと肩が揺れた。


「雷牙君はお祖父ちゃん所の人だけど」

「へぇ、響とどんな関係?」

笑ってない晴成の瞳が私を見据えた。


「雷牙君は・・・私の運転手?」

多分、そうなると思う。

「・・・そうか」

晴成の表情が微かに和らいだ気がする。


「どういう用件だったか伺っても?」

「あ、別に。貴方達に連れ去られたのをお祖父ちゃんの所の護衛が見ていたらしくて安全確認ですよ」

「・・・それはすみません」

バツが悪そうに謝った秋道は、何かを考えるような仕草を見せる。

「なにか?」

「俺たちの乗る車を付けてる車が居たんですが、それが響さんのお祖父さんの付けた護衛だったのかも知れませんね」

「そうなんだ」

秋道って、観察力に優れてるみたいだ。


て言うか、護衛の人って本当に居たんだね。

お祖父さん、心配性過ぎるよ。