「じゃあ、とりあえず彼女のマンション周辺から範囲を絞って学校を割り出しましょう」

響を探してぇと言った俺に、秋道が言う。


「ああ、頼む」

「自分の気持ちに気づいたんですよね?」

「遅くなっちまったが、響が欲しいって分かった」

「そうですか。何にも欲を出さなかった晴成がどうしても欲しいと言うのなら、喜んで協力しますよ」

秋道が俺の回答に嬉しそうに口元を緩めた。


「ああ、頼む」

幹部室のソファーに深く腰を下ろしたまま頷いた。



「何々? 女の子探し」

興味津々に目を輝かせた光希。


「晴が女ねぇ。美人だったら、俺も遊びてぇ」

「・・・チッ、響に手をだしたら承知しねぇぞ、瑠偉」

どす黒い何かを漂わせて瑠偉を睨み付けた。


「おっと・・・じょ、冗談だって。晴と兄弟になるのは勘弁」

両手をホールドアップしてニシシと笑った瑠偉を射抜くように見据えた。

こいつが、どこまで本気で言ってんのか、見極めねぇとな。


「響って言う女の子か?」

豪はばっちり俺の話を聞き取ってたらしい。

おい、さっきまで寝てただろうが。


「・・・ああ」

「探せば良いんだな」

「手伝ってくれんのか?」

「当たり前だ。晴が本気なら俺は、俺達は何を置いても手伝う」

豪の迷いのない言葉に、光希も瑠偉も頷いた。


今更だけど、俺はいい仲間に恵まれてんな。


「晴成から聞いてる響さんは、きっと騒がれる事を嫌がるはずです。なので、水面下で目立たないように行動してくださいね」

さすが秋道だよな。


「了解。俺は遊んでる女の子にそういう名前の子が居ないかさりげなく聞いてみる」

と瑠偉。

「俺は姉ちゃん達にこっそり探してもらう」

光希は三姉妹の末っ子だったな。

姉3人に可愛がられてるから、妙に甘えたな所があるんだよな。


「それはそうと、高校生か?」

豪に言われて肝心なことを言ってなかったと思い出す。


「多分な。同じ年ぐらいに見えた。名前と家以外知らねぇ」

俺もはっきり知らねぇんだよ。


「へっ? 家知ってるなら家にいけばよくね?」

瑠偉の言うものもっともだけど。

「いつ帰ってくるのか分からない場所でストーカーみたいに待っていたら、間違いなく嫌われるでしょ」

躊躇もなくそう言った秋道の言葉が、胸の奥にグサッと刺さった。


前にそれ、やったんだよな。

絶対にこいつらに言わないでおこう。