おたおたする両親を前にして思う、この人達は大人になりきれなかった大人なんだろうかと。

15年しか生きてない私が言うのもなんだけど、うちの両親はものの考え方が幼稚すぎる。


影でこっそりと支えてくれるお祖父ちゃんが居なければ、こんな風に普通に育つことはなかったと思う。


さぁ、今日最後の大仕事と行くか。



「二人に話があるんだけど」

両親を交互に見た。


「え、ええ、なにかしら」

と母親。


「なんだ?」

と父親。


「今日、私の中学の卒業式だったことは覚えてる?」

どちらかでも来るか? と思ってたけど、二人とも来なかったもんね。


「あっ・・・」

口元に手を当てた母親は目を見開いた。

今思い出したんだね。


「おい、僕は聞いてないぞ!」

母親に詰め寄る父親に、自分で確認しろよ! と思う。


「まぁ二人が来なかったことはどうでも良いんだけど」

端から貴方達に期待なんてしてないし。


「「なっ」」

目を丸くした二人は戸惑いの表情を見せる。


「義務教育を卒業した私から提案があります。あ・・・発表かな?」

もう決定してるから、提案ではないか。


「ど、どういう事だ?」

父親が怪訝そうに眉を寄せる。


私は大きく深呼吸してから、にっこり笑って彼らの顔を見ながら今まで練り上げてきた言葉を口にする。


「本日をもって篠宮家を解散したいと思います」

某漫才師の出した小説が何となく頭に浮かんだ。


「へっ?」

お母さん、間抜けな顔しすぎ。


「ど、どど、どういう事だ?」

お父さん、どが多すぎ。

動揺する二人をよそに私は話を進めていく。



「互いに外に愛人がいてそこに入り浸って、家で顔を合わせれば罵り合い。そんな二人が一緒に居ることに意味はないよね」

「そ、それは貴方の・・・」

と言いかけた母親に、

「私のためだなんて言う恩義背がましいことは言わないでよね。毎日、家で罵り合いをする両親がいて幸せを感じる事なんて無かったんだから」

と言い捨てる。


「お、親になんて口を利くんだ」

「お父さん、だったら親らしいことして欲しかったよ。お金だけを与えておけば子供が育つと思ってたら大間違い」

「なっ! お、お前、どういう育て方をしたんだ」

母親に矛先を持っていった父親。