「遊ぶのは良いですが、くだらない女に引っ掛からないでくださいね」

秋道、目が笑ってねぇぞ。


「ああ。俺を誰だと思ってる」

強い視線を返した。

女遊びはしても、見る目はあるつもりだからな。


まぁ、響は、今まで俺の周囲にいた女みたいに一筋縄じゃいかねぇだろうし。

あいつが好きなのか? と言われりゃそんな事は分からねぇ。

一度しか会ってねぇ女を好きだと言えるほど、俺も安い男じゃねぇ。


でも・・・ただ、もう一度あいつの瞳に映りてぇと思うんだ。

どうしてだか、分からねぇが。



「まぁ、今日のところはパーティーだ」

瑠偉は立ち上がる。

一階の広間にそろそろ準備は整ってるだろう。

チームの連中が俺たちの到着を心待ちにしているだろう。


「うんうん。飲みに行こ」

はしゃぐように光希も立ち上がる。


「みんなも待ってるし、行くか」

豪の言葉に、

「3人で先にいっててください」

秋道が反応した。


「おう、了解。行こう、2人とも」

頷いた豪は光希達に声をかける。


「先行くな」

瑠偉が、ヒラヒラと手を振る。

「2人も早く来てよ」

アヒル口で甘えるように言うのは光希。

3人は幹部室のドアを押し開けて出ていった。




静かになった幹部室。

俺と向き合った秋道は、何かを見透かすように俺を見つめる。


「で、何処の誰ですか?」

「言わねぇよ」

「俺に黙ってても、晴成が動けば直ぐにバレるんですよ。隠せると思ってるんですか」

正論を言われて、そりゃそうだなと思う。

良くも悪くも目立つ俺が、隠密行動なんて出来るわけがねぇな。


「・・・響」

仕方無く名前を口にする。

「どちらの響さんですか?」

「さぁな? 名前と住む場所以外知らねぇ」

「はぁ・・・それは本気で言ってるんですか?」

額に手を当てて呆れたように溜め息を吐いた秋道。


「ああ。夜叉の見張りが付いてる間は動けなかったからな」

自分の立場は分かってるつもりだ。

それに、あの女を巻き込む訳にはいかなかったしな。


「もしかして・・・この間、助けてくれたと言う彼女ですか?」

ああ、こいつは相変わらず感がいい。


「・・・ああ」

「そんな予感はしてたんですよ。迎えに行った時の晴成の機嫌が良かったですからね」

なんでもお見通しって訳かよ。

そんな顔に出てたのか? 俺。