ー晴成sideー


幹部室には、俺を含めた5人が集まっていた。

中央のテーブルを囲むように配置された4つのソファー。

チーム旗を掲げた正面に俺、その左のソファーには豪と瑠偉、右には光希、そして対面のソファーに秋道。

全員が顔や体に掠り傷を負いながらも、熱気冷めやらないのは、数十分前に終わった大規模な抗争のせい。



「いや~見事な制圧だったね」

そう言って満足そうに笑うのは光希。

正木光希(まさきみつき)16歳、情報収集担当。
弟タイプで、愛嬌のあるくりくりした目が女に人気らしい。

甘える時に使うアヒル口と、赤髪がトレードマーク。



「晴のやる気がマックスだったしな」

ニシシと笑う瑠偉。

刈谷瑠偉(かりやるい)17歳、特攻隊長を務めてる。

女ったらしで軽い口調のこいつは、目尻のつり上がった目をしていて人を見下すように笑う口元。

トレードマークは金髪とジャヤジャラと両耳に着けたた沢山のピアス。


「夜叉の奴らには、随分と煮え湯を飲まされてたかなら」

豪は、眉間にシワを寄せている。

石谷豪(いしたにごう)17歳、斬り込み隊長を受け持つ。

ガッチリとした体格、鼻筋の通った堀の深い顔つきに厚い唇。

青い髪と大きな体格がトレードマーク。


「これでしばらく安心ですよ」

書き物を止めて顔を上げた秋道が言う。

佐々木秋道(ささきあきみち)16歳、うちの参謀で頭の回転が早いやつ。

黒髪、切れ長な瞳、生真面目そうな見た目、密かに女に人気があるこいつは、ちょっと口煩い。


この4名がウルフの幹部。


「でもよ、急にぶっ潰したいとか晴珍しくね?」

瑠偉の言葉に、ソファーの肘掛けに頬杖をついたまま顔を向ける。


「面倒臭い奴等を排除しねぇと、会いに行けねぇからな」

あの日の事を思い出しながら言う。

俺にまったく興味を示さねぇ、響って言う女を。


「えっ? 誰に?」

興味津々に身を乗り出した光希に、

「さぁな」

と曖昧に返す。


「女ですか?」

秋道の抑揚の無い声と冷たい瞳に、俺はゆるりと口角を上げた。

「言わねぇ」

潰されてたまるかよ。

響は簡単に落ちるような女じゃねぇのに、その上邪魔までされちゃ堪らねぇからな。


「晴成、楽しそうだな」

唇の端に痛々しい傷を作った豪が笑う。


「まぁな」

ああ、楽しい。

あいつとの、追いかけっこが始まると思えばな。