「ウルフの仲間になったってことは、響ちゃんもこれからは暴走に参加するんだよね」

うきうきした気分で光希が言う。


「都合がつけば付き合ってもいいけど、普段はバイトがあるから無理かもね。私、生活のスタイルは変えたくないから」

さらりと言う響は今、瑠偉に切望されてテレビの前のラグに座ってテレビゲーム中。

あんな風にしてると、あいつも普通の高校生に見えるから不思議だ。


「えぇ〜! 参加しねぇのかよ」

響の隣でコントローラーを握ったまま異議を唱える瑠偉。

「絶対参加って訳じゃないでしょ?」

「まぁ、そうだけどよ。俺の後ろに乗せたかったのに」

チェッと不貞腐れる瑠偉。


「参加するとしても瑠偉の後ろになんて乗らないよ。あんな危ない特攻をしてたんじゃ命がいくらあっても足りない」

確かに響の言う通り、瑠偉の後ろには乗せらんねぇ。


「はぁ? 交差点に突っ込む時のあの緊張感は、マジでゾクゾクするんだぜ」

「要らないよ、そんな緊張感」

バカじゃないと言いながらも響は笑ってる。


ああ、あいつの自然な笑いはああいうのなんだな。

瑠偉と響のやり取りを聞きながら、今が夢なんじゃねぇかと乙女チックな思考が浮かぶ。


ウルフの幹部室に仲間として響がいるなんてよ。



「じゃあじゃあ、僕の後ろに乗れば良いよ。僕は特攻隊じゃないし」

光希がソファーに膝をついて背もたれをつかんで身を乗り出した。

「響ちゃんは俺の後ろだろ? ぜひ切り込み隊に欲しい」

豪が当たり前だとばかりに言う。


おいおい、お前ら何勝手なこと言ってんだよ。

響は俺の側におくに決まってんだろ。


「晴成、顔が怖いですよ」

クスクス笑う秋道をキッと睨み付ける。


「うっせ」

ソファーの肘掛けに頬杖をついて、響達を恨めしげに見つめた。


「大人げないですよ。響さんがうちのメンバーと溶け込めるなんて喜ばしい事ですよ」

「分かってる」

自分の回りに大きな壁を作って、誰も寄せ付けない雰囲気を醸し出してた響が、うちの連中を受け入れてくれるならいいに決まってる。

それで、生きる意味をあいつが見出だせればもう無茶もしなくなるじゃねぇかと期待した。