「玉入れとかあったら良かったのになぁ」

突っ立って、たまにボール投げるだけでいいし。


「それ、小学生の競技だから」

呆れたように返された。


「一番楽なのがいいなぁ」

そう言いながらパンを食べ終えたので、プリンの蓋を外した。

プラスチックのスプーンを手に一掬いして口へと運ぶ。


ん、美味しい。

冷たくて甘くてプルルンとしていた。


「運動神経いいくせにそう言うこと言わないの」

「運動神経よくても、面倒だもの」

「はぁ・・・少しはやる気出してよ」

「出ない」

「借り物競争とかどう?」

「誰かに話しかけるの面倒」

「パン食い競争は?」

「あんな必死にパンに飛び付きたくない」

「棒倒しは?」

「人と群れるのは嫌」

「・・・はぁ」

ことごとく拒否を示した私に、項垂れたように額に手を当てて大きな溜め息をついた千里。


「仕方ないじゃない、やる気でないし」

「体育祭の参加も評価に入るから、頑張ってね」

「・・・分かってるって」

「本当かな」

疑いの目を向けられた。


「そんな目をしなくても、当日にドタキャンしたり、しないわよ」

肩を竦めてクスッと笑う。

体育祭の内申に影響するなら来るし。

少しでもレベルの高い大学に行って、その先の将来を広げなきゃ。

私が1人で生きていくために必要な事だから。


まぁ、参加しても手を抜くかどうかは、別としてね。



「だったらいいけど。響に合いそうなの考えとくね」

「ん。お願い」

頷いて最後の一口を口に放り込んだ。


ん、プリン最高。