風香の頰を一筋の涙が伝う。体が震え、また過呼吸を起こしてしまいそうで風香は腕を引っ掻こうとした。しかし、その手は素早く理子に掴まれる。

「過呼吸、起こしていいよ。でもその前に動ける？」

理子に訊かれ、風香はゆっくりと頷く。そして理子に腕を引かれたまま風香はこころの家へと戻った。

「えっ……」

目の前の光景に、風香は目を見開く。部屋は折り紙や風船で飾られ、「happy birthday」と壁に貼られた紙に書かれていた。

「風香！誕生日おめでとう！！」

パンという音とともに、理子たちがクラッカーを鳴らす。理子たちや友子たちだけでなく、祖父母や父も部屋にいた。

「おめでとう！」

そう言い、一人ずつ風香にプレゼントを渡していく。大きな箱、小さな箱、風香の手にはたくさんのプレゼントが贈られた。

「サプライズで誕生日パーティーを開くことにしたんだ！まあ、ハプニングはあったけど……」

おいしそうな料理の並べられたテーブルにバースデーケーキを置き、龍が笑う。そして風香は今日が自分の誕生日なのだと思い出した。