「僕は何てことをしたんだ……彼女に謝らないと……」

「大丈夫よ。そのおかげでキミはあの時現実に帰ってこれたんだから。きっとイブはキミのことを恨んでいないと思う」

「え? じゃあここは現実……?」



僕の問いかけに、アイラは答えず静かに立ち上がって窓の外を見た。

「今日も雨が凄いね……キミが来てからずっと降り続いているんだよ。おかげですっかり雪もなくなっちゃった」



確かに……言われてみれば、以前ここにいた時は辺り一面真っ白な雪原だった気がする。

「あの……貴方は誰なんですか?」



さっきと同じ質問を投げかける。よく見ると彼女はイブをそのまま成長させた様な姿をしている。

ということはもしかしてこの世界は――

「ほら、耳を澄ましてみて。鈴の音が聞こえるでしょう?」



僕の問いに答えることなく、アイラはそう言って静かに目を閉じた。

「私、この音が大好き。聴いているととても心が安らいで……安心できるの」



その仕草に、声に確信めいたものを感じて僕は問いかける。



「ねえ、もしかして貴方は……君はイブなの?」