お礼はいつかと約束して、また明日と告げようとした時。

『そういえばさ、』

「うん?」

『幼なじみって生きてるの?』

「え?ヒロのこと?」

『央睦しかいなくない?最近綺咲んとこ来ないじゃん。あれだけ毎日欠かさず来てたのに』

ヒロ、と言われたら。

あの日を真っ先に思い出した。

自分の気持ちを告げた後、ヒロは何も言わずその場を立ち去っていって。

私も先輩と付き合いだしてからは、先輩に夢中な自分がいたからヒロなんて全く気にも止めていなかった。

チクッ。

·····ん?

『まあそろそろ綺咲離れしたらいいよ』

「そ、そうだよ」

『どした?』

「ううん、なんにも·····」

心臓がチクチクしてるみたいだけど、ドキドキの後遺症かなんか?

ドキドキの破壊力がすごすぎるが故の症状?

ヒロに対する罪悪感とも気づかず、瀬名にも聞けずに電話を切った。