迎えに来るとか今まであった?

アンタは私の彼氏なの?

·····彼氏?

いらぬ想像が脳内に広がってきて、それを消し去るかのように外に目を向けたら。

ちょうど校門へ向かう先輩の姿があった。

「おい、なんだよ先輩って」

「あのね、毎回ヒロに関係あることなの?」

「あ、あるだろ!」

「なんでよ!」

「俺はお前が·····!」

あ·····。

振り向いた·····。

手、振ってる?

私に·····だよね。

視線の先の先輩が不意に振り返って、今、私と目が合ってる。

そんな私はヒロの話なんて全く聞いてなくて。

ヒロが長年言えなかったことを、今やっと言おうとしてたなんて微塵も思ってなくて。

ヒロが·····また1つ傷ついたなんて知らなくて。

「私、先輩に本気なの」

本気にならなくちゃダメだって。

私のためにも·····ヒロのためにも。

少し肌寒くなった季節の始まり。

ヒロへ告げたこの言葉を境に、ヒロは私のところへ来なくなった。