司暢くんは顔の表情を変えなかった。

どことなく仮面をつけたようなそんな笑顔。

あれ?

いつもそんなふうに笑ってた?

「あーやっぱり聞かれてたか」

「·····え?」

「あの男なに?友達?前に教室で一緒にいたよね」

「いたけど·····ただの幼なじみだよ」

「噂通り男たらしだな、お前」

この人は、司暢くんですか?

いつもの優しい笑顔が一瞬で消えて、表情がただただ怖い。

状況理解が難しいそんな状態で、私は紛れもない目の前にいる司暢くんに押し倒された。

押さえつけられた肩が痛い。

頭も床に打ったしめまいがする。

吐きそう。

これは夢?

夢なら覚めればいい、早く。

「体の相性さえよければいいだろ」

「な、に·····」

「好きとかそんな感情いらねーし」

「やだ·····」

「俺のこと好きだなんだろ?」

好き·····好きだよ·····。

好きだから今の司暢くんとは絶対にしたくない。