友達ドール

バイト先に着いたのは午後一時過ぎ。
バイトは午後三時からにしてもらっていたのでまだ時間がある。

「どこかでご飯食べよ、紫織!」
「うん、理香子ちゃん」

二人でお店を探す。
ふと、紫織が一つの小さなカフェを指差した。

「理香子ちゃん、あそこにしよ!」
「うん、いいよ」
「何があるかなぁ~」

店に入ろうとしたら、出てくるお客と目が合った。
見覚えのある男の人…。
…誰だっけ?と記憶を遡っていると、紫織が「あれ!?篠村センセーだぁ」と指差した。

…篠村…?

そう呼ばれた篠村?さんは、アタシ達を覚えていたようで、ニコリと笑った。

「やぁ、君たち。理香子さんは、お薬の効果はどんな感じかな?睡眠も取れてる?」

お薬と言われて、ようやく思い出せた。
確か…なんとか内科の先生だ。
アタシに薬をくれた…。

アタシは笑顔で篠村さんを見た。

「ふふふ、篠村さんの薬のおかげで、楽になれました!睡眠も取れてますよ」



篠村さんはアタシを見て、一瞬顔をしかめたように見えた。



けれど、すぐにヘラヘラとした笑顔に戻る。

「そうかいそうかい…君の今が幸せなら、僕はそれで良いんだけどね。あ、ここの店はパスタが絶品だよ…それじゃあね」

『さようなら!』

篠村さんが手を振りながら去っていく。

「パスタが絶品…だって!」
「パスタで決まりだね、行こう紫織!」
「了解~」

アタシ達は店への扉を開いた。