それから五日が経った。
『お疲れ様でした』
喫茶店のバイトを終えて、紫織と二人で帰ろうとしていた時だ。
「あ、二人とも!これ、忘れてるわよ!」
「え?」
「これ、何ですかぁ?」
光さんに呼び止められてキョトンとするアタシ達。
光さんは「やっぱ忘れてたかぁ~」と苦笑していた。
「今日はここのお給料日よ!二人ともお疲れ様でした!はい、これどうぞ」
茶封筒がアタシ達に手渡される。
「そっかぁ、今日はお給料日だったね!」
「うん…!」
大切なことなのに、バイトに夢中ですっかり忘れていた。
しっかりと茶封筒を手に持つ。
初めてのお給料は、何だか見た目よりずっと重く感じた。
光さんとその近くにいたマスターにお礼を言ってから外に出る。
「ねぇねぇ、紫織達の初めてのお給料、どのくらい貰えたか見てみないっ?」
「…家に帰ってからね」
「えーーー!」
アタシも早く中を確認したかったけど、外でお金を数えるのは…と思った。
帰りの電車を待つ間も、電車に乗ってからも…家までの道が、その日は長く感じた。
「早く早く、理香子ちゃん!鍵開けよう!」
「ちょ、待って…開けるから」
紫織にグイグイと腕を引っ張られながら部屋の鍵を開け、ドアを開く。
再度ドアの鍵を閉めてから、居間に座った。
ちゃぶ台の上に二人で茶封筒を置く。
紫織が「せーので中を見よう!」と言うのでそれに従うことにした。
『せーの』
中身は…三万 五千 七百円。
二人合わせて、七万 千 四百円。
けして多くはない金額だが、これがアタシ達の初めてのバイト代。
初めて自分達の手で稼いだお金。
そのことがとても嬉しかった…。
紫織もそうみたいで、嬉しそうに茶封筒を胸に抱いている。
「理香子ちゃん、確かお弁当屋さんのお給料日ももうすぐだよね!」
「二日後ね」
「楽しみだねぇ~!」
紫織の言葉に、アタシは頷いたのだった。
二日後…。
店長からお給料と売れ残ったお弁当二つを貰い、アタシと紫織は駅までの道を歩いていた。
七時になってもまだ日は長い。
「お弁当屋さんのお給料、高かったね~」
「朝から十時間は働いてるからね」
「どんどんお金貯まってくなぁ~楽しくなってきちゃったよ~」
「それは否定しない」
「ふふふっ!働くの楽し~理香子ちゃんも一緒だしね!」
そんな会話をしながら駅に着き、いつも通りに電車を待つ。
棚野駅に向かう電車が時間通りに来て、それに乗ろうとした時だった。
「…理香子…?」
聞こえたのは、懐かしい声―――。
そこにいたのは、紫乃だった。
『お疲れ様でした』
喫茶店のバイトを終えて、紫織と二人で帰ろうとしていた時だ。
「あ、二人とも!これ、忘れてるわよ!」
「え?」
「これ、何ですかぁ?」
光さんに呼び止められてキョトンとするアタシ達。
光さんは「やっぱ忘れてたかぁ~」と苦笑していた。
「今日はここのお給料日よ!二人ともお疲れ様でした!はい、これどうぞ」
茶封筒がアタシ達に手渡される。
「そっかぁ、今日はお給料日だったね!」
「うん…!」
大切なことなのに、バイトに夢中ですっかり忘れていた。
しっかりと茶封筒を手に持つ。
初めてのお給料は、何だか見た目よりずっと重く感じた。
光さんとその近くにいたマスターにお礼を言ってから外に出る。
「ねぇねぇ、紫織達の初めてのお給料、どのくらい貰えたか見てみないっ?」
「…家に帰ってからね」
「えーーー!」
アタシも早く中を確認したかったけど、外でお金を数えるのは…と思った。
帰りの電車を待つ間も、電車に乗ってからも…家までの道が、その日は長く感じた。
「早く早く、理香子ちゃん!鍵開けよう!」
「ちょ、待って…開けるから」
紫織にグイグイと腕を引っ張られながら部屋の鍵を開け、ドアを開く。
再度ドアの鍵を閉めてから、居間に座った。
ちゃぶ台の上に二人で茶封筒を置く。
紫織が「せーので中を見よう!」と言うのでそれに従うことにした。
『せーの』
中身は…三万 五千 七百円。
二人合わせて、七万 千 四百円。
けして多くはない金額だが、これがアタシ達の初めてのバイト代。
初めて自分達の手で稼いだお金。
そのことがとても嬉しかった…。
紫織もそうみたいで、嬉しそうに茶封筒を胸に抱いている。
「理香子ちゃん、確かお弁当屋さんのお給料日ももうすぐだよね!」
「二日後ね」
「楽しみだねぇ~!」
紫織の言葉に、アタシは頷いたのだった。
二日後…。
店長からお給料と売れ残ったお弁当二つを貰い、アタシと紫織は駅までの道を歩いていた。
七時になってもまだ日は長い。
「お弁当屋さんのお給料、高かったね~」
「朝から十時間は働いてるからね」
「どんどんお金貯まってくなぁ~楽しくなってきちゃったよ~」
「それは否定しない」
「ふふふっ!働くの楽し~理香子ちゃんも一緒だしね!」
そんな会話をしながら駅に着き、いつも通りに電車を待つ。
棚野駅に向かう電車が時間通りに来て、それに乗ろうとした時だった。
「…理香子…?」
聞こえたのは、懐かしい声―――。
そこにいたのは、紫乃だった。