ドアの先。
そこには青空をバックにたたずむ男の人と、フェンスに背中を預けて目を瞑る女の子がいた。
「やぁ、いらっしゃい…えっと…」
「紺野 理香子です…」
「そう、理香子さんだ!…今日は来てくれてありがとう」
男の人…篠村先生は片手をあげて手をヒラヒラさせた。
紫織と二人、頭を下げる。
「立ち話もなんだから、取り合えずイスに座って」
指差した場所…屋上の中央には四脚のパイプイスが置かれている。
二脚同士が隣り合っていて、後の二脚と向かい合うような形だ。
紫織と二人で奥のパイプイスに並んで座る。
向かい合う二脚のパイプイスには篠村さんと女の子が座った。
「さてと…早速だけど、診断を始めようか」
そう言うと篠村さんは急に真剣な顔になった。
アタシをじっと見ている。
「そう…そうか…君は…そんな道を……」
篠村さんが一人言を呟く。
しばらくして篠村さんはポツリポツリと話し出した。
「理香子さんの心の傷は…友達との決別により刻まれたものだね。その子とは幼い頃からの親友で…君は、自分がその子を守らなくてはと思っていた」
―――当たっている。
アタシは紫乃を守りたかった。
篠村さんが空を見上げながら続ける。
「だけどある日、君は決断をする。その子を守るために、その子と別れて…自分が悪者になることを…」
アタシは目を瞑る。
紫乃を守るためには、アタシが悪者にならなければいけなかった。
―――でも本当は…。
「本当は、今でも友達でいたかった?」
「………」
「言わずとも分かる、僕にはね…」
心を読まれてる―――。
やはりこの人には隠し事はできないんだろう。
アタシが目を開けると、今度は篠村さんが目を瞑った。
「次に…お父さんの逮捕だね。まだ塞がってなかった君の心の傷をさらにえぐった。君はどこかでまだ、お父さんの逮捕を受け止めきれてないんじゃないかな」
その言葉にアタシは唇を噛んだ。
「テレビのニュースみたいなもので、現実味がわかない…明日になれば、お父さんがヒョッコリ帰ってくるような気がする…さっきのお友達と一緒さ。お友達のことも、もしかしたらどこかでまた会えるかも…友達に戻れるかもと思っているね」
―――君があの町から出たくない理由は、それなんじゃないかな?
―――あの町を出なければ、また二人と会える気がするから…あの町にこだわるんじゃないのかな?
―――慣れないバイトを頑張るのは…忙しい環境に身を置いて、現実逃避をしたいからだと僕は思うな…。
―――大切な友達に酷いことを言って、お別れしたという現実から。
―――大好きなパパが犯罪なんてする筈ない、逮捕なんてされる筈ないと思いたい一心から…現実逃避している最中だ。
篠村さんの言葉を聞きながら。
気づけば涙が出てきていた。
紫織が淡いピンク色のハンカチを取り出して涙を拭ってくれる。
…そうか、アタシはまだ『期待』してたんだ。
紫乃との再会…パパの無実…そんな期待を。
そんな資格も力も…アタシにはないのに。
篠村さんがイスから立ち上がる。
その目は優しくアタシを見つめていた。
そこには青空をバックにたたずむ男の人と、フェンスに背中を預けて目を瞑る女の子がいた。
「やぁ、いらっしゃい…えっと…」
「紺野 理香子です…」
「そう、理香子さんだ!…今日は来てくれてありがとう」
男の人…篠村先生は片手をあげて手をヒラヒラさせた。
紫織と二人、頭を下げる。
「立ち話もなんだから、取り合えずイスに座って」
指差した場所…屋上の中央には四脚のパイプイスが置かれている。
二脚同士が隣り合っていて、後の二脚と向かい合うような形だ。
紫織と二人で奥のパイプイスに並んで座る。
向かい合う二脚のパイプイスには篠村さんと女の子が座った。
「さてと…早速だけど、診断を始めようか」
そう言うと篠村さんは急に真剣な顔になった。
アタシをじっと見ている。
「そう…そうか…君は…そんな道を……」
篠村さんが一人言を呟く。
しばらくして篠村さんはポツリポツリと話し出した。
「理香子さんの心の傷は…友達との決別により刻まれたものだね。その子とは幼い頃からの親友で…君は、自分がその子を守らなくてはと思っていた」
―――当たっている。
アタシは紫乃を守りたかった。
篠村さんが空を見上げながら続ける。
「だけどある日、君は決断をする。その子を守るために、その子と別れて…自分が悪者になることを…」
アタシは目を瞑る。
紫乃を守るためには、アタシが悪者にならなければいけなかった。
―――でも本当は…。
「本当は、今でも友達でいたかった?」
「………」
「言わずとも分かる、僕にはね…」
心を読まれてる―――。
やはりこの人には隠し事はできないんだろう。
アタシが目を開けると、今度は篠村さんが目を瞑った。
「次に…お父さんの逮捕だね。まだ塞がってなかった君の心の傷をさらにえぐった。君はどこかでまだ、お父さんの逮捕を受け止めきれてないんじゃないかな」
その言葉にアタシは唇を噛んだ。
「テレビのニュースみたいなもので、現実味がわかない…明日になれば、お父さんがヒョッコリ帰ってくるような気がする…さっきのお友達と一緒さ。お友達のことも、もしかしたらどこかでまた会えるかも…友達に戻れるかもと思っているね」
―――君があの町から出たくない理由は、それなんじゃないかな?
―――あの町を出なければ、また二人と会える気がするから…あの町にこだわるんじゃないのかな?
―――慣れないバイトを頑張るのは…忙しい環境に身を置いて、現実逃避をしたいからだと僕は思うな…。
―――大切な友達に酷いことを言って、お別れしたという現実から。
―――大好きなパパが犯罪なんてする筈ない、逮捕なんてされる筈ないと思いたい一心から…現実逃避している最中だ。
篠村さんの言葉を聞きながら。
気づけば涙が出てきていた。
紫織が淡いピンク色のハンカチを取り出して涙を拭ってくれる。
…そうか、アタシはまだ『期待』してたんだ。
紫乃との再会…パパの無実…そんな期待を。
そんな資格も力も…アタシにはないのに。
篠村さんがイスから立ち上がる。
その目は優しくアタシを見つめていた。



