木曜日。
病院に行く日が来た。
アタシと紫織は最寄り駅で立ち止まる。
「まずは…『電車に乗る』だよねぇ…」
「どこ行きの電車…?」
「多分、どこ行きでもいいんじゃないかなぁ」
紫織が人差し指を小さな唇にあてながらそう言った。
そして路線図を見てから、勝手に電車を選びアタシの手を握る。
「行こう、理香子ちゃん」
切符を買い、改札を通る。
紫織が選んだ電車はすぐにホームに来た。
どうやら時間で乗る電車を選んだようだ。
夏休み中とは思えない程ガラガラな席に座る。
『この電車は終点、根尾野まで各駅に停車いたします…』
男の人の声でアナウンスが聞こえてくる。
根尾野…聞いたことのない駅だった。
電車が動く。
次は『終点まで降りない』だった。
紫織と話しながら終点まで一時間半…ようやく根尾野に着いた。
「次は…『近くの病院に行く』…」
「うーん…あっ、すみませ~ん!」
アタシが呟くと、紫織が近くの駅員さんを呼び止めた。
お年寄りの駅員さんが「はい、どうされましたか?」と笑顔で対応してくれた。
「この近くに、屋上がある病院ってありますか~?」
「屋上…それならここからバスで二十分程行った先に、大原病院って言う大きな病院がありますよ」
「ありがとうございま~す!」
「お気をつけてお二人さん」
そう言うと駅員さんは今アタシ達が乗ってきた電車に乗り込んだ。
電車内にはいつの間にか、一人の女の子が乗っていた。
アタシ達と同じくらいの女の子…。
プルルルル…と音をたてながら電車が発車する。
なんとなくその様子を見ていたら、紫織が「理香子ちゃん!」とアタシの腕を引っ張った。
「外!バス来てるよ!」
「え―――」
「ほら、早く行こう!」
「う、ん!」
アタシ達はギリギリセーフでバスに飛び乗った。
駅員さんが言った通り、ものの二十分でバスは目的地の大原病院前に着いた。
何人かお年寄りが降りていくのに続き、バスを降りる。
病院は大きいが、どこか歴史を感じるたたずまいをしていた。
きっと何十年前からここにあるんだろう。
アタシ達は病院の中に入った。
田舎の病院とはいえ、結構な患者の数だった。
ちゃんとした病院だと分かり、少しだけ安心する。
紫織が病院の案内図を眺めている。
ふむふむ…と呟きながら指で図をなぞっている。
少しして、紫織はアタシを見た。
「屋上に行くには、階段を上った方が早いみたい」
七階まである病院の階段を紫織と話しながらゆっくりと登る。
足が痛くなってきた頃、ようやく屋上に続くドアが見えてきた。
こういう所にありがちな、立ち入り禁止の看板などは見られない…。
アタシは紫織と顔を見合わせてから、ドアを開けた。
病院に行く日が来た。
アタシと紫織は最寄り駅で立ち止まる。
「まずは…『電車に乗る』だよねぇ…」
「どこ行きの電車…?」
「多分、どこ行きでもいいんじゃないかなぁ」
紫織が人差し指を小さな唇にあてながらそう言った。
そして路線図を見てから、勝手に電車を選びアタシの手を握る。
「行こう、理香子ちゃん」
切符を買い、改札を通る。
紫織が選んだ電車はすぐにホームに来た。
どうやら時間で乗る電車を選んだようだ。
夏休み中とは思えない程ガラガラな席に座る。
『この電車は終点、根尾野まで各駅に停車いたします…』
男の人の声でアナウンスが聞こえてくる。
根尾野…聞いたことのない駅だった。
電車が動く。
次は『終点まで降りない』だった。
紫織と話しながら終点まで一時間半…ようやく根尾野に着いた。
「次は…『近くの病院に行く』…」
「うーん…あっ、すみませ~ん!」
アタシが呟くと、紫織が近くの駅員さんを呼び止めた。
お年寄りの駅員さんが「はい、どうされましたか?」と笑顔で対応してくれた。
「この近くに、屋上がある病院ってありますか~?」
「屋上…それならここからバスで二十分程行った先に、大原病院って言う大きな病院がありますよ」
「ありがとうございま~す!」
「お気をつけてお二人さん」
そう言うと駅員さんは今アタシ達が乗ってきた電車に乗り込んだ。
電車内にはいつの間にか、一人の女の子が乗っていた。
アタシ達と同じくらいの女の子…。
プルルルル…と音をたてながら電車が発車する。
なんとなくその様子を見ていたら、紫織が「理香子ちゃん!」とアタシの腕を引っ張った。
「外!バス来てるよ!」
「え―――」
「ほら、早く行こう!」
「う、ん!」
アタシ達はギリギリセーフでバスに飛び乗った。
駅員さんが言った通り、ものの二十分でバスは目的地の大原病院前に着いた。
何人かお年寄りが降りていくのに続き、バスを降りる。
病院は大きいが、どこか歴史を感じるたたずまいをしていた。
きっと何十年前からここにあるんだろう。
アタシ達は病院の中に入った。
田舎の病院とはいえ、結構な患者の数だった。
ちゃんとした病院だと分かり、少しだけ安心する。
紫織が病院の案内図を眺めている。
ふむふむ…と呟きながら指で図をなぞっている。
少しして、紫織はアタシを見た。
「屋上に行くには、階段を上った方が早いみたい」
七階まである病院の階段を紫織と話しながらゆっくりと登る。
足が痛くなってきた頃、ようやく屋上に続くドアが見えてきた。
こういう所にありがちな、立ち入り禁止の看板などは見られない…。
アタシは紫織と顔を見合わせてから、ドアを開けた。