友達ドール


紫乃に今日のことを言えば…きっとアタシと一緒に戦ってくれるだろう。
アタシ達は確かに優衣の二股現場を見たのだから。
何も間違ったことはしていない。

でも―――。

それを信じてくれる友達はもう、紫乃以外にいない。

今日…鞄を間違えただけであの騒ぎだ。
明日からはどうなる?
紫乃には、あんな怖い思いをさせたくない。

それなら…どうすればいい?
紫乃をクラスメイト達から守るには…どうすればいい?

アタシは考えた。
考えて考えて考えて……。


一つの答えにたどり着く。


アタシはスマホのアプリを起動し、紫乃にメッセージを送った。



***


『会える?』

そのメッセージに既読がついたのは、すぐだった。

『理香子?学校は?』

その返信には答えず、『公園で待ってる』とだけ打った。
既読がつく。

『すぐ行く』

と返ってきた。

紫乃が公園に来たのは、それからおよそ十分後。
アタシはブランコを眺めていた。
紫乃に気づく。
走ってきたのか、息が上がっていた。

「り、理香、子…?」

紫乃が呼吸を整えながらアタシの名を呼ぶ。
もう一度、ブランコに視線を移した。
強く風が吹き、ギィ…と音をたてるブランコ。


―――紫乃と友達になったきっかけは、ブランコだった。

それからずっと側にいてくれた、友達。

甘えん坊で、マネしたがりで、少し泣き虫なアタシのたった一人の友達。

―――だからこそ、言わなきゃいけない。

アタシは紫乃をゆっくりと見つめた。


―――そして。



「ねぇ、紫乃」





―――友達、やめよう、私達。





アタシの言葉に。
紫乃の目が、大きく見開かれた。