「お前…白鳥の鞄に何しようとしてんだよ!」
「はぁ!?」
「しらばっくれんなよ!俺見てたんだからな!?」
クラスメイトの永野だ。
大声で全員に聞こえるように叫んでいる。
ざわつく教室。
「白鳥さんの鞄に何かしようとしたって…」
「うわ、理香子サイテー」
「っ…ち、違っ―――!」
広がっていく誤解に、反論しようとするけど誰もアタシの言葉に耳を貸そうとはしなかった。
ふと、優衣と白鳥の姿が見えた。
クラスメイトの女子が駆け寄り、アタシを睨み付けながら言い捨てる。
「理香子が優の鞄に何かしようとしたって!」
目を見開く優衣と白鳥…。
「違う!アタシは何もしてない!」
すぐにそう言った。
けれど永野達はそれを信じようとしない。
「嘘つけ!俺見たんだからな!お前が白鳥の鞄に何かかけようとしてたの!その手、何を隠し持ってるんだよ!」
ぎりぎり…と腕を更にキツく掴まれる。
―――痛い!離せよ!
そう言っても、永野は聞く耳を持たない。
鞄を間違えただけだと言うけれど…それも信じてもらえなかった。
香水のボトルが、手から落ちそうになった時。
「もうやめて―――!」
白鳥が叫んだ。
そして悲しそうな顔でアタシの腕を離してあげてほしいと永野に頼む白鳥。
永野が、その言葉を受けて渋々アタシから手を離した。
「大丈夫?白鳥さん―――」
白鳥がアタシに近づき手を伸ばす。
その姿が、紫乃と重なった。
こんな奴と紫乃を重ねて見るなんて…!
「…きゃ!」
気がつけば白鳥を思いきり突き飛ばしていた。
その場でこてんと尻餅をつく白鳥。
優衣が駆け寄る。
「アタシに近づかないで!!」
アタシは今度こそ自分の鞄を手に教室を出ていった。
―――元々は全て白鳥…アイツのせいだ。
―――アイツが『優衣は二股をしてない』なんて嘘をついたから―――!!
白鳥への怒りと、白鳥に助けられた悔しさが込み上げてくる―――。
アタシは廊下を走り抜け、階段を駆け下りて、学校を出た。
生徒達の視線も、先生の怒声も今はどうでもよかった。
ただ、ひたすら走る。
そうして。
息を切らしてたどり着いたのは、あの公園だった。
スゥ…と息を小さく吸い込み、吐き出す。
何度か浅い深呼吸を繰り返してから、公園へと入っていった。
ブランコに乗りながら空を見る。
風に流れていく雲を見ていると、少しずつ冷静になってきた。
アタシは唇を噛み締め、自分の体を抱き締める。
―――怖かった。
誰も味方してくれないことが。
一人なんだと自覚することが。
紫乃が……側にいないことが。
紫乃にとにかく会いたかった。
スマホを取り出し、連絡しようとする。
けれど、ふと思った。
アタシは…このまま紫乃といても、良いの?
「はぁ!?」
「しらばっくれんなよ!俺見てたんだからな!?」
クラスメイトの永野だ。
大声で全員に聞こえるように叫んでいる。
ざわつく教室。
「白鳥さんの鞄に何かしようとしたって…」
「うわ、理香子サイテー」
「っ…ち、違っ―――!」
広がっていく誤解に、反論しようとするけど誰もアタシの言葉に耳を貸そうとはしなかった。
ふと、優衣と白鳥の姿が見えた。
クラスメイトの女子が駆け寄り、アタシを睨み付けながら言い捨てる。
「理香子が優の鞄に何かしようとしたって!」
目を見開く優衣と白鳥…。
「違う!アタシは何もしてない!」
すぐにそう言った。
けれど永野達はそれを信じようとしない。
「嘘つけ!俺見たんだからな!お前が白鳥の鞄に何かかけようとしてたの!その手、何を隠し持ってるんだよ!」
ぎりぎり…と腕を更にキツく掴まれる。
―――痛い!離せよ!
そう言っても、永野は聞く耳を持たない。
鞄を間違えただけだと言うけれど…それも信じてもらえなかった。
香水のボトルが、手から落ちそうになった時。
「もうやめて―――!」
白鳥が叫んだ。
そして悲しそうな顔でアタシの腕を離してあげてほしいと永野に頼む白鳥。
永野が、その言葉を受けて渋々アタシから手を離した。
「大丈夫?白鳥さん―――」
白鳥がアタシに近づき手を伸ばす。
その姿が、紫乃と重なった。
こんな奴と紫乃を重ねて見るなんて…!
「…きゃ!」
気がつけば白鳥を思いきり突き飛ばしていた。
その場でこてんと尻餅をつく白鳥。
優衣が駆け寄る。
「アタシに近づかないで!!」
アタシは今度こそ自分の鞄を手に教室を出ていった。
―――元々は全て白鳥…アイツのせいだ。
―――アイツが『優衣は二股をしてない』なんて嘘をついたから―――!!
白鳥への怒りと、白鳥に助けられた悔しさが込み上げてくる―――。
アタシは廊下を走り抜け、階段を駆け下りて、学校を出た。
生徒達の視線も、先生の怒声も今はどうでもよかった。
ただ、ひたすら走る。
そうして。
息を切らしてたどり着いたのは、あの公園だった。
スゥ…と息を小さく吸い込み、吐き出す。
何度か浅い深呼吸を繰り返してから、公園へと入っていった。
ブランコに乗りながら空を見る。
風に流れていく雲を見ていると、少しずつ冷静になってきた。
アタシは唇を噛み締め、自分の体を抱き締める。
―――怖かった。
誰も味方してくれないことが。
一人なんだと自覚することが。
紫乃が……側にいないことが。
紫乃にとにかく会いたかった。
スマホを取り出し、連絡しようとする。
けれど、ふと思った。
アタシは…このまま紫乃といても、良いの?