日曜日、アタシと紫乃は優衣を連れて駅前のカラオケボックスへ向かう。
賑やかな人混みの先に、目的の場所があった。
カラオケボックスの店の前で立ち止まる。
「カラオケかぁ…久しぶりだから楽しみだな」
優衣が目を輝かせて言った。
アタシはそんな優衣に笑いかける。
「今日は楽しもうね」
***
席にはもう、N高の男子が揃っていた。
紫乃がシックな作りのドアを開ける。
「お!T高校女子、来ました~!」
「待ってたよ、こっちおいで!」
「こんにちは、今日はよろしく」
『よろしくお願いしまーす!』
アタシと紫乃が手を振りながら笑う。
「……え、あ…?」
一人、うろたえながら部屋中を見渡す優衣。
理香子…と呟きアタシの袖口をクイクイッと引っ張った。
「ごめんなさい、ちょっとアタシ達お化粧直してきまーす」
そう言って部屋を出て、女子トイレに向かう。
「ど…どういうこと!?あの男の子達…誰?」
優衣が焦った様子で詰めよってくる。
紫乃が「理香子に近づかないで!」とその体を軽く押した。
二、三歩後退する優衣。
アタシは優衣にこう説明した。
「合コンなんだから、男くらいいるでしょ」
優衣が目を丸くする。
そして「私、帰る…」とトイレを出ていこうとして…アタシが腕を掴んだ。
優衣が驚いたようにアタシを見る。
「アンタ、数合わせなんだから座っといてよ」
「…え?」
優衣にアタシのフォローなんて頼まない。
それは紫乃がやってくれるから。
優衣の仕事はただ、そこにいること。
むしろ数合わせとして読んだのだから、下手に動かれて邪魔されるのはごめんだった。
「そうそう、座っとくだけでいいの。優衣は理香子の引き立て役なんだから~」
紫乃が笑いながら言った。
優衣はその場でしばらくうつ向いた後「…分かった」とだけ呟いた。
合コンの席に戻る。
それぞれ二人一組で席につくと、合コンが始まった。
「じゃあまずは俺らから自己紹介~!」
一人の男子がソファの上に立ち、備え付けのタンバリンを振りながら自己紹介をしだした。
二人目の自己紹介のテンションも高い。
―――いくらお金持ちといえども、このノリはついていけない……。
紫乃も苦笑いだった。
所詮あの浮気女の彼氏が選んだ男…か。
アタシは落胆した。
優衣は…目を伏せて、注文したオレンジジュースを飲んでいる。
アタシも何か飲むかな…とメニューを取ろうとした時だった。
「…えーと、じゃあ最後。金上 奏太です、よろしくね」
爽やかな声に視線を移すと、雰囲気も落ち着いた男の子がいた。
アタシと目が合うと、ニコリとほほ笑む。
「皆 可愛くて緊張してます」
と、締めくくり、彼の挨拶は終わった。
金上…奏太…。
この人…いいかも。
アタシは奏太君に狙いを定めたのだった。
賑やかな人混みの先に、目的の場所があった。
カラオケボックスの店の前で立ち止まる。
「カラオケかぁ…久しぶりだから楽しみだな」
優衣が目を輝かせて言った。
アタシはそんな優衣に笑いかける。
「今日は楽しもうね」
***
席にはもう、N高の男子が揃っていた。
紫乃がシックな作りのドアを開ける。
「お!T高校女子、来ました~!」
「待ってたよ、こっちおいで!」
「こんにちは、今日はよろしく」
『よろしくお願いしまーす!』
アタシと紫乃が手を振りながら笑う。
「……え、あ…?」
一人、うろたえながら部屋中を見渡す優衣。
理香子…と呟きアタシの袖口をクイクイッと引っ張った。
「ごめんなさい、ちょっとアタシ達お化粧直してきまーす」
そう言って部屋を出て、女子トイレに向かう。
「ど…どういうこと!?あの男の子達…誰?」
優衣が焦った様子で詰めよってくる。
紫乃が「理香子に近づかないで!」とその体を軽く押した。
二、三歩後退する優衣。
アタシは優衣にこう説明した。
「合コンなんだから、男くらいいるでしょ」
優衣が目を丸くする。
そして「私、帰る…」とトイレを出ていこうとして…アタシが腕を掴んだ。
優衣が驚いたようにアタシを見る。
「アンタ、数合わせなんだから座っといてよ」
「…え?」
優衣にアタシのフォローなんて頼まない。
それは紫乃がやってくれるから。
優衣の仕事はただ、そこにいること。
むしろ数合わせとして読んだのだから、下手に動かれて邪魔されるのはごめんだった。
「そうそう、座っとくだけでいいの。優衣は理香子の引き立て役なんだから~」
紫乃が笑いながら言った。
優衣はその場でしばらくうつ向いた後「…分かった」とだけ呟いた。
合コンの席に戻る。
それぞれ二人一組で席につくと、合コンが始まった。
「じゃあまずは俺らから自己紹介~!」
一人の男子がソファの上に立ち、備え付けのタンバリンを振りながら自己紹介をしだした。
二人目の自己紹介のテンションも高い。
―――いくらお金持ちといえども、このノリはついていけない……。
紫乃も苦笑いだった。
所詮あの浮気女の彼氏が選んだ男…か。
アタシは落胆した。
優衣は…目を伏せて、注文したオレンジジュースを飲んでいる。
アタシも何か飲むかな…とメニューを取ろうとした時だった。
「…えーと、じゃあ最後。金上 奏太です、よろしくね」
爽やかな声に視線を移すと、雰囲気も落ち着いた男の子がいた。
アタシと目が合うと、ニコリとほほ笑む。
「皆 可愛くて緊張してます」
と、締めくくり、彼の挨拶は終わった。
金上…奏太…。
この人…いいかも。
アタシは奏太君に狙いを定めたのだった。