人数分の紅茶が入ったカップをお盆に乗せて、私達に配った後、エリスさんも席につく。
鼻で紅茶の香りを楽しみながら、エリスさんは私を見た。
「それで―――私にお願いとは、何かしら?」
「私達、人を殺したんです」
言葉を濁すことなくハッキリと告げた優に、私は慌てて視線を移す。
エリスさんの反応は―――…。
私は目を丸くした。
エリスさんは紅茶を一口飲むと、平然とした表情で「そう」と答えたのだ。
―――それだけ?
―――人を殺した人間を目の前にしてるのに?
「その日のことを、優衣ちゃんは忘れられずにいて…苦しんでいます。それで…エリス様のお力をお借りしたいんです」
優が淡々と説明をする。
エリスさんは「あらまぁ、そうでしたの…」と私の方を向いた。
私はイスから立ち上がり、頭を下げる。
「お、お願いします…!私が人を殺したという記憶を、塗り替えて下さい…!」
忘れてしまえば、例えいつか誰かに疑われても、知らないと言えばそれで終わる。
だって記憶にないのだから。
優みたいに演技力がある方ではない。
エリスさんの力に頼るしかないんだ…!
「頭をおあげ下さいな、優衣様」
エリスさんが呟く。
それを聞いて、私はゆっくりと頭をあげた。
エリスさんはカップを片手に、優雅にほほ笑んでいた。
「そういう話ならば…お力になりましょう」
「ほ、本当ですか…!?」
「はい、しかし…別料金を頂きますが、よろしくて?」
「…別料金…ですか?」
エリスさんはニコ…と笑う。
「えぇ、ざっと百万円程…頂戴いたしますわ」
その言葉に、私はがく然とする…!
「ひゃ…百万円…!?」
「うふふ、人殺しという罪の記憶を塗り替えるんですもの…当たり前の額ですわ。もっと頂いてもいいくらい」
「そ、そんなの無理です、払えません…!!」
私が首を降ると、エリスさんは「そうですか…」と残念そうに肩を落とした。
「…それならば…何か別の記憶を頂くのならばどうでしょうか?」
「…え…?別の…記憶…?」
人を殺したという記憶とは別に…ですか?
恐る恐るエリスさんに聞いてみると、エリスさんは笑顔で頷いた。
「えぇ、例えば家族との思い出や、友達との思い出…何でもよろしくてよ。それならば忘れても、記憶喪失ということにすれば誰も怪しみませんわ」
家族との思い出…私はお母さんの顔を思い出した。
女手一人で私を育ててくれたお母さん…!
ダメ……!忘れるなんて絶対に嫌だ…!
―――それならば、友達…?
「あ、あの…友達との思い出には…優との思い出も含まれるんですか…?」
優との会話、約束…思い出…過ごした日々―――。
それら全て…?
エリスさんは少し考えているようだった。
それから少しして、その口を開く。
「本来ならば…そうですわね、しかし―――」
エリスさんは優と私を交互に見つめて笑った。
「優衣様は、優を大切にして下さっているご様子…今回だけ、優に関する思い出は取らないようにいたしますわ」
彼女と初めて会った記憶から、今日に至るまでのあらゆる記憶は勿論、彼女が友達ドールだということも…全てそのままにいたします。
「っ―――!!ありがとうございます!!」
エリスさんの言葉に、私は涙を流してお礼を言った。
「それでは、優を除く、全ご友人の記憶を頂きますわね」
エリスさんのその言葉を最後に、私の意識は途切れていった。
鼻で紅茶の香りを楽しみながら、エリスさんは私を見た。
「それで―――私にお願いとは、何かしら?」
「私達、人を殺したんです」
言葉を濁すことなくハッキリと告げた優に、私は慌てて視線を移す。
エリスさんの反応は―――…。
私は目を丸くした。
エリスさんは紅茶を一口飲むと、平然とした表情で「そう」と答えたのだ。
―――それだけ?
―――人を殺した人間を目の前にしてるのに?
「その日のことを、優衣ちゃんは忘れられずにいて…苦しんでいます。それで…エリス様のお力をお借りしたいんです」
優が淡々と説明をする。
エリスさんは「あらまぁ、そうでしたの…」と私の方を向いた。
私はイスから立ち上がり、頭を下げる。
「お、お願いします…!私が人を殺したという記憶を、塗り替えて下さい…!」
忘れてしまえば、例えいつか誰かに疑われても、知らないと言えばそれで終わる。
だって記憶にないのだから。
優みたいに演技力がある方ではない。
エリスさんの力に頼るしかないんだ…!
「頭をおあげ下さいな、優衣様」
エリスさんが呟く。
それを聞いて、私はゆっくりと頭をあげた。
エリスさんはカップを片手に、優雅にほほ笑んでいた。
「そういう話ならば…お力になりましょう」
「ほ、本当ですか…!?」
「はい、しかし…別料金を頂きますが、よろしくて?」
「…別料金…ですか?」
エリスさんはニコ…と笑う。
「えぇ、ざっと百万円程…頂戴いたしますわ」
その言葉に、私はがく然とする…!
「ひゃ…百万円…!?」
「うふふ、人殺しという罪の記憶を塗り替えるんですもの…当たり前の額ですわ。もっと頂いてもいいくらい」
「そ、そんなの無理です、払えません…!!」
私が首を降ると、エリスさんは「そうですか…」と残念そうに肩を落とした。
「…それならば…何か別の記憶を頂くのならばどうでしょうか?」
「…え…?別の…記憶…?」
人を殺したという記憶とは別に…ですか?
恐る恐るエリスさんに聞いてみると、エリスさんは笑顔で頷いた。
「えぇ、例えば家族との思い出や、友達との思い出…何でもよろしくてよ。それならば忘れても、記憶喪失ということにすれば誰も怪しみませんわ」
家族との思い出…私はお母さんの顔を思い出した。
女手一人で私を育ててくれたお母さん…!
ダメ……!忘れるなんて絶対に嫌だ…!
―――それならば、友達…?
「あ、あの…友達との思い出には…優との思い出も含まれるんですか…?」
優との会話、約束…思い出…過ごした日々―――。
それら全て…?
エリスさんは少し考えているようだった。
それから少しして、その口を開く。
「本来ならば…そうですわね、しかし―――」
エリスさんは優と私を交互に見つめて笑った。
「優衣様は、優を大切にして下さっているご様子…今回だけ、優に関する思い出は取らないようにいたしますわ」
彼女と初めて会った記憶から、今日に至るまでのあらゆる記憶は勿論、彼女が友達ドールだということも…全てそのままにいたします。
「っ―――!!ありがとうございます!!」
エリスさんの言葉に、私は涙を流してお礼を言った。
「それでは、優を除く、全ご友人の記憶を頂きますわね」
エリスさんのその言葉を最後に、私の意識は途切れていった。



